TOP>組織と各部の活動>各部の活動>学術部>平成23年度第1回生涯研修会の報告
|
第1回生涯研修会の報告 学術副部長 加藤 博司 日時: 5月22日(日) 13時30分〜15時45分 会場: クレメントプラザ5階 クレメントサロン TEL088-656-3211 徳島市寺島本町1丁目61番【JR徳島駅】 テーマ: 介護予防研修「認知症について」 講師: 徳島市地域包括支援センター総括主任 社会福祉士 介護支援専門員 盛 裕二(もり ゆうじ)先生 研修単位: 3単位 (医学教養1単位・基礎医学0単位・臨床2単位) 参加者: 34名 「認知症の支援について」のテーマで、スライドと配付資料をもとにご講演いただきました。 1.認知症を理解する 全国の認知症高齢者数の将来推計(2005年〜2045年の間)では全人口に対する割合が6.7%〜10.4%の増加が予想されており、65歳以上の方がいる世帯数の全世帯数に対する割合の推移(昭和61年〜平成20年の間)も、26%〜41.2%に増加している。 1-1認知症とはどういうものなのか :変性疾患、脳血管性認知症について 1-2認知症の症状 :中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下…)が起こり、そこに性格・素質や環境・心理状態の因子が加わることによって、うつ症状、妄想、興奮・暴力、不潔行為などの行動・心理症状が現れる。 1-3中核症状 :1.記憶障害 2.見当識障害 3.理解・判断力の障害 4.実行機能障害 について 各障害で現れる症状や行動、その対処法について 1-4認知症の診断・治療 :認知症が疑われる場合にはできるだけ早い時期に、まずは、かかりつけの主治医に相談し認知症専門の医療機関を紹介してもらい、専門医による診断・治療が重要である。 なかには治る病気や一時的な症状の場合があるので、早期に適切な治療を行うことで劇的に回復するケースもある。 1-5認知症予防について ・飲酒、喫煙、運動不足などの危険因子や、脳をあまり使わないなどの加速因子を減らすことによって発症のリスクを少なくすることができる。 認知症は加齢によるもので「防ぎようがない」、との認識は間違っている。 ・日常生活を“楽しく行う”ことを大切にし、会話や遊び・趣味の時間など、ストレスを感じない程度に楽しみ、脳の活性化を図る。 2.認知症の人を支援する 2-1認知症の人と接する時の心構え ・「認知症の本人には自覚がない」は大きな間違いであり、物忘れや今まで普通にできていた日常生活に支障が出てきていることを本人も自覚していて、誰よりも一番心配で苦しい悲しい思いを抱えていることを察してあげる。 ・認知症の人への対応の心得“3つの「ない」” 1.驚かせ“ない” 2.急がせ“ない” 3.自尊心を傷つけ“ない” ・具体的対応の7つのポイント 1.まずは見守る 2.余裕をもって対応する 3.声をかける時は一人で 4.後ろから声をかけない 5.相手の目線に合わせてやさしい口調で 6.穏やかに、はっきりした滑舌で 7.相手の言葉に耳を傾けゆっくり対応する 2-2具体的な接し方 ・幻覚、妄想、不眠、夜間せん妄、徘徊、物忘れ、などの症状について各々の対処法、接し方について 〈 認知症サポーターについて 〉 認知症は、介護している家族だけの問題ではなく、近隣の住民たちも地域の一員として介護家族が抱えている問題を「自分たちの問題である」という認識を持ち、「あたたかい目で見守る」 特別なことをやるのではなく、自分たちにもできること ・認知症が疑われる高齢者や、その介護家族への声かけ ・認知症からくる行動によりトラブルが生じている場合や、認知症の方が訪問販売などによる消費者被害や権利被害を受けている場合に通報する ・認知症の正しい知識の啓発、認知症の方に対しての支援活動 最後に、各市町村単位で設置されている介護予防マネジメントなどを総合的におこなう機関「地域包括支援センター」についての紹介と、各市町村の設置状況と所在地・連絡先を明記した資料を配布していただきました。 認知症は、症状や行動にも様々なケースがあるので対応に苦慮することもありますが、認知症の方に接することを特別なことと考えず、普通の人間同士のコミュニケーションの延長としてとらえ、心構えとして「あなたのために私に何かできないか」という気持ちが大切であり、その思いは相手にも伝わります。こちらが苦手意識を持っていると相手にも苦手意識が生まれるので、身構えず心を開いて、相手を受け入れることが大切であるとご教授いただきました。 今後、臨床の場や地域のつながりの中で、認知症の方や家族の方々に接する機会も増えてくるものと思われます。今回の講演を良い機会として、認知症とそれを取り巻く問題への理解を深めて認知症サポートの一員として地域健康づくりの活動に役立てていきたいと思います。 |