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平成21年度第4回生涯研修会の報告 坐位マッサージ施術とセルフケアの指導法 県立盲学校 藤本 篤子先生 1.坐位あん摩マッサージ施術の注意点 施術部位、時間の制限の中でも局所だけの施術にならないよう東洋医学の基本である全体をみて調和をはかることを第一に考えるべきである。そのうえで施術のペース配分をして指先に神経を集中させ、指腹がこりの部に垂直に当たるように揉捏することが大切である。 肩上部の凝りに対する施術例 @肩背部、上肢を軽擦し凝りの状態を把握する A肩上部を軽く施術 B頚部、上肢に施術する C最も凝っている部分に施術する D最後に頚部、肩のストレッチを中心とした運動を行う。 2.セルフケアの方法 A.織田啓成著「経絡理論を応用した足の裏ツボ療法」を参考に足の反射区健康法を取り入れると患者指導だけでなく自身の健康にも役立てることが出来る。症状に関係なく頚、肩、上肢の動きに特定の制限がある場合に足の裏の五臓六腑図をもとに対応する足底の反射区を刺激することで病を大元から改善しようというものである。運動の制限は次の5つに分けられ、それぞれに足底の治療区が決まっている。 1.肝経(ストレス系)2.循環器(婦人科系)3.消化器系 4.呼吸器系 5.泌尿器系の5つがある。 例:@頚を左右に動かすと違和感がある。A肘を伸ばして腕を持ち上げ耳につけようとした時、肘が曲がったりして耳につきにくい場合。このような運動制限があると消化器系に属し治療は胃区(土踏まずの拇指側前方)を刺激する。刺激法は経験上、50度くらいの湯につけたスプーンの腹で胃区をリズミカルに2分間叩くと効果的である。 頭部調整法 足の反射区を決める運動において複数の運動制限がある場合は新旧の病状が混在しているので頭部調整法で骨格系や筋系の調整を行って新しい症状を取り、その後、残った運動制限をもとに足の反射区で治療する。頭部調整法には小泉門調整法(小泉門の両側から挟むようにした後、頭皮を上下に5.6回動かしさっと開く)、頭の膀胱経調整法(前髪際から後髪際まで膀胱経上を左右同時に指腹でトントンとリズミカルに叩く)がある。 B.マッケンジー体操を利用した腰痛管理の概要 腰痛の急性期から行えるマッケンジー体操は正しく行うとセルフケアに効果的である。 経穴の国際統一について 県立盲学校 小杉 企史先生 A.経穴国際標準化の経緯 1989年ジュネーブ「鍼用語標準化の為の国際会議」で経穴の総数を361穴とすること、正経、奇経の英語名称や骨度法、同身寸等は決められていたが経穴の部位は各国で異なっている穴もあり、統一されなかった。2003年から経穴部位に関する協議が重ねられ2006年10月筑波にて「WHO経穴部位国際標準化公式会議」が開催され全ての経穴部位が統一された。それに伴い今年春から経穴の学校教科書も変更になった。 読み方として「内、外」は「ない、がい」・「上、下」は「じょう、げ」・「手三里、頭竅陰など」に「の」は入れないと統一された。 B.主な変更点 @新しく正穴として加わる経穴…7穴 督兪・気海兪・関元兪・眉衝・風市・急脈・中枢 A2案併記…部位の合意に至らなかった経穴…6穴 禾?・迎香・労宮・中衝・環跳・水溝 B骨度法変更 a.前腕の尺度は1尺2寸(肘関節横紋と手関節横紋の中点を6寸とし取穴の基準にする) 孔最:手関節掌側横紋(最も遠位の横紋)の上方7寸(中点の上1寸) ?門:手関節掌側横紋の上方5寸 温溜:手関節背側横紋の上方5寸、支正:手関節背側横紋の上方5寸 b.殿溝から膝窩横紋まで1尺4寸 殷門:殿溝の下方6寸 C名称の変更 客主人→上関・足陽関→膝陽関 D別説だったものが正穴になったもの…5穴 魚際・犢鼻・天窓・秩辺・合陽 E流注の変更で位置が変わったもの…7穴 脾経腹部の走行が正中線の外方4寸に変更→府舎・腹結・大横・腹哀 肺経上腕の走行が上腕二頭筋外側縁となる→天府・侠白 心包経上腕の走行が上腕二頭筋長頭、短頭の間となる→天泉 F経穴の順番の変更…2穴(下線部) 新しい腎経の順番:湧泉・然谷・太渓・大鍾・水泉・照海・復溜 G漢字の変更 ・缺→欠(列欠・欠盆)・谿→渓(陽渓・太渓・天渓・後渓・解渓)・絲→糸(糸竹空) ・?→侠(侠渓・侠白)・?→頬(頬車)・鐘→鍾(大鍾・懸鍾)・飛陽→飛揚 Hその他の変更…55穴 参考資料:新版経絡経穴概論 東洋療法学校協会他編、経絡経穴概論 東洋療法学校協会 新型インフルエンザ対策について 徳島県保健福祉部 医療健康総局次長 石本寛子先生 今年6月、WHOが新型インフルエンザの世界的流行を宣言し日本でも8月中旬より感染者数は急増している。本格的な流行期を前に10月19日からは予防ワクチンの接種がはじまる。インフルエンザの感染経路は飛沫感染、接触感染でウィルスは鼻、口、目を通して身体に入る。県内の状況を知り正しい予防法を身につけて自己防衛に努めて下さい。 A.飛沫感染の予防 ●咳エチケット(咳・くしゃみで飛沫が飛ぶ距離は1〜2m) ・咳、くしゃみの症状がある時はマスクをする。正しいマスクのつけ方は鼻と頬の形に合わせてカーブをつけ、ゴム紐を耳にかけた後、蛇腹を下に引き鼻、口を充分に覆う。 ・咳、くしゃみをする時は口をティッシュで覆う。無い場合は肘を曲げた部分で覆う。 ・咳、くしゃみをする時は周りの人から顔をそむける。 B.接触感染の予防 ●手洗い:石けん液を使い手のひら、指間、手背、指先、親指、手首と洗い残しが無いように注意しペーパータオルで拭く。 C.急な発熱と咳やのどの痛みなど「インフルエンザかな?」と思った時 @ 医療機関を受診する時はまず、医療機関に電話して指示に従い受診 A 受診する時はマスクを着用 B 重症化の防止には早期(発熱後2日以内)治療が大切 D.感染した場合の注意点 @感染リスクは学校29.6%、職場23.3%あるので多数の感染者をださないために一定期間自宅療養をする。 A療養期間は解熱後2日又は症状発現後7日間 E.家族が罹った時の看護(家庭での感染リスクは41.1%と高い) @充分な準備をして看護(マスク、ビニール手袋) A患者もマスクをして特定の部屋で療養 B部屋の換気は充分(1時間に数回)行い、湿度を60%に保つ C患者の廃棄物は密封又は消毒(痰などのついたティッシュはビニール袋に密封) D消毒方法(患者の触れたところはアルコール、塩素系漂白剤で拭く) F.施設での感染予防 ・マスク着用、咳エチケットの徹底 ・ 手洗い、手指消毒をこまめに ・ こまめな換気の実施 ・ 環境整備(手洗いしやすい環境。消毒、マスクの整備) ・ 患者配置 (患者を個室に隔離、ベッド間を2メートル離す) |