石川大会報告
石川大会報告
山下光弘
第9回東洋療法推進大会in石川に出席。
19日当日は、5時45分の早朝にもかかわらず、定刻通りに出発出来た。
参加者6名は、元気にバスから新幹線、電車に乗り換え、田園の中を真っ直ぐに伸びた線路を走り続けて金沢エクセルホテルの会場に。
私は2回目の全国大会の出席であるが、心も体もワクワクの状態でした。
会場は600名の出席者で熱気あふれる中、正午から開会式が始まり、杉田久雄全鍼師会会長の挨拶、谷本正憲石川県知事のご祝辞に続き、参加者は15ブロックに分けられた分科会へ。
私は最初は県民公開講座シンポジウムへ。
会場は一般市民、学生が集まり、医学の垣根を越えた新たな医療に対する高さを感じた。
癌に対する鍼灸治療の適応と可能性、癌治療に伴う副作用の緩和を目的とした鍼灸治療は、化学療法に伴う吐き気、嘔吐、疲労、ホルモン療法に伴う血管運動症状(ほてり)、放射線療法に伴う口腔内乾燥など、鍼灸治療が身体的にも精神的にも症状を緩和することが出来れば大きな前進があると思った。
次の温泉と鍼灸マッサージで健康作り(観光地分科会)に出席して、温泉浴による生理作用は、非特異的変調作用または総合的生体調整作用と言い、温浴の繰り返しにより、温度、水圧、泉質など個々の刺激が総合的に働いて、心身の調子を変える作用、自律神経系、ホルモン系、免疫系などを介して体の歪みを整え諸機能を正常化させる等に鍼灸マッサージの相性がピッタリという。
大分県竹田市では来年の4月から温泉療法の利用者の料金負担を軽減する市負担の助成制度を創設する。企業の協賛金と税金を原資とする基金を創設し、市民や長期温泉療養の観光客向けに保険証を発行し温泉施設や旅館などを割引料金で利用出来るようにすると言う。
20日はトリガーポイント治療法、顎関節症に関する症例報告、美容鍼灸の応用症例報告などまだまだありますが、又機会があればと言うことでこれで終わります。
12時過ぎに2日間の大会を終えて少しの観光をしました。昼は有名な白エビのカキアゲ丼が大変美味しくて大々満足でした。又、石畳のある置屋巡り、最後に兼六園を見学。入り口から120万石の金沢城をバックに散策しました。
さすが日本三大名園の一つとうたわれた貫禄でありました。
9月19日、20日にわたり石川県鍼灸マッサージ師会の皆様には大変お世話になりました。貴会には益々のご発展とご多幸をお祈りしましてお礼申し上げます。
石川大会報告
河原由佳
めでたく第九回目を迎え、名称も「東洋療法推進大会」と改められた今回の大会。
残暑にも関わらず真夏の暑さが残った九月でしたが、幸いながら天候にも恵まれ、行きは良い良い、帰りは慌ただしいという、少人数ながらも何とも賑やかな旅となりました。
数あるテーマの中で、私が選択した初日の講座は「がん医療における東洋医学の現状と展望」「温泉とはり・きゅう・マッサージで健康つくり」「トリガーポイント治療法」です。
特に関心があったのは「がん医療における東洋医学の現状と展望」で、受講一番手ということもあって意気軒昂とペンを構えて受講してきました。
三人の先生方がそれぞれ奥深い知識をわかりやすく披露してくれましたが、共通していた意見は「西洋医学と東洋医学は将来的に手を取りあっていけたら良い」ということでした。
話が進む中、がん細胞と免疫細胞の攻防を合戦に例えた話が出たときは、なるほど、と目から鱗でした。
どういう例え方をしたかというと、立て直しが早く、素早く攻めに転じられる方が、がん細胞。
救援物資が届きにくく、立て直しに時間のかかる方が免疫細胞なのだと表現されました。
そこで、鍼・灸・漢方治療を行うことで、免疫細胞への救援部隊となれるのではないか?または西洋療法(三大療法といわれる「手術・抗がん剤・放射線治療」)を行った後のケアとしてこれらを行うのも有効な治療法ではないか?という内容でした。
(具体的には、抗がん剤の副作用や術後の体調不良を緩和させる・・・等)
行う治療内容に西洋と東洋の違いはあっても「患者さんが受ける治療に東西無し」であることに違いはありません。
とは言え、手を取り合うためにはどうすれば良いのか?
手痛い指摘として「医者の大半は、東洋医学にあまり興味を持っていない」という意見が挙げられました。
医者の行える範囲が広いことと、知ってもらおうにも、お互いがお互いに「違う言語を用いて喋っているのが現状である」為だろうとの事でした。
東洋医学は、自分の分野を学ぶと同時に西洋医学も学ぶことが強みですが、西洋医学を学ぶ人たちは東洋医学の言葉(五行や八綱病証、素問霊枢など)は学びません。
話が世界へと飛びますが、国交を行うためには「その国の言葉」を知らなければ会話は成立しません。
言葉を知っている側から同じ言葉で語りかけ、いかに興味を引くか。
そこが重要なのだと、諸先生方は語ってくれました。
重要なだけに大きな課題です。
次は「温泉とはり・きゅう・マッサージで健康つくり」を受講しました。
こちらは地域密着型の話で、温泉がテーマなだけあって先生も熱い人でした。
温泉の大事さについて湯の如く熱く語ってくれる中で驚いたのが、大分県で温泉の保険制度が確立される動きがあることでした。
温泉も立派な「湯治(とうじ)」という治療法なのだと語る先生の言葉には迫力がありました。
お風呂の文化自体は古くローマ時代から愛されてきましたが、今では温泉と言えば日本。
日本と言えば温泉と言っても良いほど、その結びつきは強いと思います。
しかし日本の温泉は、源泉を使った天然ものは年々減っていると聞き及びます。
そんな中、近年、何かと話題を提供してくれる隣国が温泉商法を展開しようと日本へ調査に来ているのだとか。
温泉文化が世界に広まることは純粋に良いと思います。
体温が1℃上がるだけで免疫力も高まると言いますし、温まると細胞は自己修復を始めるのだそうです。
さらに注目すべきは「湯に入るということは、親子、または家族のコミュニケーションとして、とても大事」だということ。
私も小さい頃に親と一緒に入っては、掛け算を暗唱させられた、苦いような楽しいような、そんな振り返ることが出来る思い出があります。
親子関係が希薄な家庭が増えていると言われてしまう現代。悲惨な事件も多い現代。
温かいお湯で、そんな冷え切った関係も温められたら良いのに、と切実に思いました。
金沢の街中観光の道中は、聞くも涙、語るも涙、なので多くは語りません。
でも古風な街並みは京都と並ぶほど綺麗で、とても感動しました。
特に兼六園は是非、季節ごとに訪れたい場所です。
紅葉も始まっていない何も無い時期でしたが、それでも庭園ならではの落ち着いた雰囲気は、懐古的な気持ちにさせてくれました。
旅は道連れ世は情け。一緒に金沢へ行った諸先生方に、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。未熟な先導で御迷惑もたくさん掛けましたが、楽しい旅を有り難うございました。
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