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第6回生涯研修会 報告



学術部



日時:
平成25年2月3日(日)
10
時30分〜15時30分



会場:
内町公民館 
TEL088-654-4913
徳島市元町1丁目24アミコビル 5F
テーマ:
『頭痛の経絡治療』



講師:
(社)兵庫県鍼灸マッサージ師会副会長 梅木 茂樹 先生



研修単位:
5単位(医学教養0単位・基礎医学2単位・臨床3単位)



参加者:
25名

写真1会長挨拶

写真2実技指導中の梅木先生


梅木茂樹先生は、兵庫県鍼灸マッサージ師会副会長でありながら、自身の経絡治療の勉強会も立ち上げられ、古典鍼灸臨床医学会の会長もされております。また兵庫県師会の学術部長も兼務されております。今回の研修は、午前に経絡治療について・頭痛の臨床についての講義と、午後からは頭痛を主に、モデル患者の様々な症例について実技指導していただきました。

午前の座学は経絡治療についての説明から始まり、六部定位脈診・比較脈診、それらをふまえての本治法・漂治法の仕方、さらに手法の補瀉の仕方を、教えてもらいました(先生は、主に提按開闔の補瀉を使われていました)。
 
次に、今回のテーマである頭痛の臨床の説明に入りました。


頭痛の分類
 一次性頭痛と二次性頭痛に分けられる。
 1 頭痛持ちの頭痛:@片頭痛(ずきずきタイプの頭痛)A緊張性頭痛(頭重タイプの頭痛)B群発頭痛(片目の辺りが猛烈に痛む)Cその他(アイスクリーム頭痛など)
2 外科的治療の対象となる頭痛:D頭部の怪我による頭痛(慢性硬膜下血腫など)    E血管障害による頭痛(クモ膜下出血など)F頭蓋内疾患による頭痛(脳腫瘍)
3 内科的治療の対象となる頭痛:処置できるものもある
G原因物質のある頭痛(二日酔いの頭痛など)H感染症による頭痛I代謝疾患に
よる頭痛(一酸化炭素による頭痛など)
 4 その他の症候性疾患頭痛:J眼・耳・鼻・口腔疾患による頭痛K神経痛や帯状疱疹
(ヘルペス)L分類できない頭痛
2〜3は、まずは病院へ回す方が良い

不適応症状の確認(禁忌と不適応は違う)

@ 頭が割れるような激烈な頭痛がして嘔吐がある。
A 痙攣・麻痺・言語障害・意識の混濁がある。
B 頚筋が強張って前に曲げられない。
C 突然に頭痛がして徐々に痛みが強くなり、嘔吐・眩暈・視力障害の伴うもの。
D 脳出血の疑いがあるもの。
E 高熱で悪性の伝染性疾患が疑われる場合。
F 眼が痛むのと同時に頭痛がする場合は上昇熱だが、緑内障の事があるので要注意。
G 熱病・眼・鼻・歯などの疾患、三叉神経痛、以上のような病気から頭痛が起こった場合は頭痛よりも原疾患の治療を優先。
H 交通事故などで打撲した後の頭痛は基本的には適応。ただし、頭部を打撲していれば、一度は検査させておくのが良い。

脈による不適応の判断

@ 全体の脈が、沈緊細数で頭痛があれば、高血圧かまたは脳内の疾患があることがあるので要注意又は不適のことがある。
A 元々高血圧症があって頭痛を起こした場合に左寸が強ければ要注意。
B 寸の脈が魚際の方向に溢れている溢脈であれば直ぐには異常が現れないが脳の病気になる可能性がある。

等の大事な話があり東洋医学理論による頭痛の考え方や頭痛の証別分類の話があった。
そして証別分類からの本治法・漂治法の治療穴の説明があり最後に療養の指示として、
 緊張性頭痛は、肉体的に筋の過緊張を生じる作業が無いか否かを尋ね、要因があれば除く指示を与える。緊張性の頭痛は、心因性頭痛も兼ねることもある為、患者の訴えをよく聞き、細心な情報聴取や検査を行い、真剣な態度を示すことは安心感を与える。精神的葛藤が認められたり、不安感を持つ患者には、状態に応じた指導を行い、社会的背景や心理的な性格にも注意する必要がある。頚の軽い運動やストレッチも頭痛を軽くすることもある。
 片頭痛は、誘因となる事項を発見することもあるが、なかなか困難なこともある。特定の食物として、チョコレート・オレンジチーズなどが発作の因子となることがあり、また特定の場所を訪問することが因子となったりする。そうした食物行動を避けることは賢明である。酒石鹸エルゴタミンは、80%に有効であるとされているが、長期に使用すると蓄積作用で害があり、妊娠中・高血圧症・狭心症・肝障害には使用出来ない。

との説明がありました。

午後からは、頭痛を主にして、モデル患者のその他の症例に合わせ、触診・脈診・腹診をして治療の仕方をご指導していただきました。その場で効果が確認できたケースも多く、今まで臨床に経絡治療を取り入れていた者も、取り入れていなかった者も今後の治療に大きな成果が期待できる研修会となりました。


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